(1)小麦粉のアミログラムには,α アミラーゼ及びグルテンの影響がある為,小麦澱粉とは可なり違つたアミログラムを示す。(2)α アミラーゼ添加により澱粉の粘度曲線にすそが現われ,之は澱粉の膨潤によるものと推定される。そしてこのすそは,小麦粉の粘度曲線のすそと関係があるものと考えられる。(3)α アミラーゼによる粘度降下作用は麦芽,絲状菌,バクテリヤ,膵臓何れのものでも明かにみられた。(4)小麦澱粉は機械的損傷によりアミログラムに変化を来し,すそと糊化開始温度及び最高粘度の低下が認められ,且つαアミラーゼによるsusceptibilityの増大も認められた。(5)小麦澱粉の加熱により,最高粘度は加熱温度の上昇と共に次第に低下し,且つ麦芽添加による最高粘度の低下は,100℃1時間の加熱では殆ど認められない。(6)pH及び食塩に関しては先づ,酸性で最高粘度が上昇し,アルカリ性で降下し食塩濃度0.1N以上で粘度上昇と糊化温度の上昇を認めた。麦芽浸出液添加の影響は,食塩濃度が高い場合には殆ど現われない。 なお本報告の実験には共立女子大学学生音村英子氏の協力をいただいた。又粗製甘藷βアミラーは東京農工大学伊藤正春氏から分与いただいた。記して感謝の意を表する。