実験室的に分離した甘藷澱粉7種および市販のクズ澱粉2種について,収率,チッ素及びリン含量,アルカリ数,ヨウ素吸収能,0.1%水溶液の混濁度,1N苛性カリにおける0.5%溶液の粘度,アミロアルカリグラムを測定した。甘藷澱粉はチッ素含量(0.007~0.013%),アルカリ数(3.5~5),ヨウ素吸収能(37~40.5mg/9),アルカリ溶液の粘度(〔lnηrel/C〕c=0.5=2.5~2.7)に関しては馬鈴薯澱粉に匹敵しているが,リン含量(0.009~0.022%)が低く,膨潤に対する抵抗性(アミロアルカリグラムにおける膨潤開始濃度および0.1%水溶液の混濁度)が高い点はむしろトウモロコシ澱粉に似ている。クズ澱粉は試料数が少いので決定的なことは言えないがトウモロコシ澱粉に似ている。クズ澱粉の漂白試料は未漂白試料にくらべて粒子構造または分子が若干崩壊していることを示している。