(1) われわれの考案した試験管中において一定条件にて糊化加熱する方法により,各種澱粉,アミロペクチンおよびアミロースの膨化力(Raising Power;R.P.)を測定した結果,各種澱粉のR.P.に差があり,且つアミロペクチンはいちじるしくR.P.が大であることを知つた。(2) 以上のことから,もち米を原料とした「あられ」「おかき」類の膨化現象は,水蒸気と空気の膨張と,これをつつむもち米澱粉すなわちアミロペクチンの強い伸展性および,その乾固によつて起るものであり,アミロペクチンは麩における麩質(グルテン)ににた役目をなしているということができる。(3) 各種澱粉の膨化力の測定は,焙焼菓子原料としての価値判定に役立つものと思われる。(本研究は昭和33年5月日本農芸化学会大会,澱粉シンポジウムにおいて講演した。)