甘藷澱粉の汚染機構をしらべるために,甘藷品種31を選び,澱粉の白度と甘藷中の成分との相関を求め,澱粉の白度を支配する成分が何であるかについて考察し,同時に高澱粉質,高白度の甘藷の品種選抜を目的として実験を行った。 その結果,澱粉の白度と高い相関を有するものは全部ポリフェノール(クロロゲン酸)成分,または汁液着色の基質であるポリフェノールに関係のあるもののみであり,結局先報に推定したように,ポリフェノールの多少が澱粉白度にいちじるしい影響を来たすという推定を肯定するに有効であった。 原料甘藷の粗タンパク含量は他の一般成分と同様にその澱粉白度とあまり相関が高くない。すなわち澱粉の白度は原料のタンパク含量には支配されないと考えられる。また澱粉の白度の高い甘藷は澱粉含量が低いような傾向がみられた。以上の試験は澱粉の汚染機構にあづかる成分の検索を目的としたので,各品種で如何なる品種が澱粉原料として満足され,かつ有利であるかなどの問題については今後の試験にまちたい。最後に本試験を施行するに当つて,原料甘藷31品種の御提供いただいた九州農業試験場甘藷試験地坂井健吉技官に厚く感謝の意を表する。 なお本試験成績は昭和33年4月澱粉工業学会総会で講演した。