標準及び無加里栽培における沖繩100号について,生育の各時期毎にその組織を顕微鏡的に観察し,合せて収量,水分,澱粉,糖及び窒素の変化を測定して次のような結果を得た。 (1)甘藷の生育にともない,組織細胞の大きさは増大し,細胞内の澱粉粒子も生長する。この粒子の生長は,成分的には澱粉含有量の増加となって現れる。 (2)地上部は8月(中)下旬に一つの転期があり,成分の消長に大きな変化をきたす。即ち澱粉含有量と窒素は最低を示し,水分と直接還元糖は最大となる。 (3)同じ時期に,地下部の澱粉含有量は急激に増加し,水分は激減する。 (4)標準区と無加里区とでは,塊根の澱粉含有量が生育後期に異った様子を示す。即ち,標準区は9月中旬に最高に達し,その後は減少するが,無加里区では漸増する。 (5)非還元糖については,標準区では澱粉が最高に達する時期に低くなり,澱粉の減少にともない増加する。無加里区ではこの時期に非還元糖の増減はみられない。 (6)葉及び塊根の窒素は,生育の初期に最高で,その後は減少し,8月下旬に最低となり,生育後期に再び増加する。この傾向は特に葉において著しい。