1)いわゆる液化困難な澱粉の性状をビスコグラフで研究したところ,糊化点が高く,また最高粘度に到達するのにかなりの時間がかかることから,ミセルが強固で,熱による膨潤に対する抵抗の強いことがわかった。2)つぎに,これらの澱粉の液化しがたい原因は,加えた液化酵素が,澱粉の膨潤より以前に熱失活を起すためであることを確めた。3)この際に高温耐熱性酵素を加えると,液化困難澱粉も対照区とほぼ同粘度まで液化し,その加水分解率は,それぞれ16.3%および15.5%あった。4)今回の液化困難な澱粉は,顕微鏡所見および分析値から,明らかに二番粉であることがわかった。5)そこで澱粉の粒子の大小による液化を調べるために,ホィッッァー風力分級機で分級した大小粒子について,ビスコグラフィーおよび液化実験を行ったが,顕著な差は認められず,液化液の加水分解率も同様であった。6)以上の結果から,今回の液化困難な澱粉は,二番粉が何等かの原因で変質して,ミセルが極めて強固になったものと考える。これらの原因については目下実験を継続中であるが,単なる薬品処理だけのためとは考えられない。