有機溶剤(メタノール,アセトンまたは2一プロパノール),カセイソーダ水溶液およびモノクロル酢酸ソーダ混合物中でデンプンを処理してカルボキシメチル・デンプンを製造する反応において,種々の反応条件(反応温度,反応時間,カセイソーダ使用量,モノクロル酢酸ソーダ使用量,有機溶剤と水との比率,デンプンの種類など)の下で得られた多数の生成物について,エーテル置換度と1%水溶液の粘度とを比較した。 有機溶剤としてメタノールは著者らの条件下ではモノクロル酢酸ソーダの反応率が低かった。アセトンと2一プロパノールは反応率の点では同じ位であったが,アセトンは揮発性が大きいので不利であるかも知れないφ 反応温度30℃ ならば約24時間で,40℃ ならば数時間で90%以上反応が終了する。しかし反応時間がある程度を越すと多くの場合生成物が餅状化した。餅状化すると後の処理(粉砕,中和,洗浄など)が面倒になるのが欠点である。 モノクロル酢酸ソーダの使用量が少ない程反応率は高くなる(最高78%)が,デンプン0.1A.G.U.,モノクロル酢酸0・1mo1,カセイソーダ0.2mol,30℃,24時間の条件下では反応率は45%前後であった。 一般にカセイソーダの使用量が多い程反応速度は速いが,カセイソーダが余り過剰になると生成物の粘度が著しく低下する傾向がみられた。 生成物の1%水溶液(撹拌を最少限にして調製)の粘度(B型回転粘度計,ローターNo.3,30r.P.m.)は800~1800c.P.程度のものが多く,放置(2夜)により20~30%の粘度低下がみられた。生成物の置換度と粘度との間には一定の関係はみられなかった。 本研究は昭和35年度交部省科学試験研究費補助金によるものでありここに厚く感謝します。 また,本研究に対し多大の御援助をいただいた安達糊料株式会社に対し厚くお礼申し上げます。