サラシ粉処理が甘藷澱粉の酵素液化および糖化におよぼす影響について試験した。 1.サラシ粉で処理した澱粉のビスコグラムはサラシ粉の使用量が増加するにしたがって,糊化点がやや高くなる傾向がみられ,最高粘度は逆に低下した。 2.ビスコグラフによる液化液の濁度,吸光度を測定したが,サラシ粉で処理すると対澱粉0.05%から増加する傾向がみられる。殊に0.4%以上ては急激に増加した。 3.ビスコグラフによる30%澱粉・酵素懸濁液の液化を行ったが,糊化点はほとんど差力潔められなかった。最高粘度はサラシ粉の濃度が増加すると低下する。Break Downはいつれも6分程度で差は認められなかった。 4.液化不良澱粉の定量法を考案し,サラシ粉で処理した澱粉に応用したが,サラシ粉濃度が高くなると液化不良澱粉が増加する傾向がみられた。 5.サラシ粉処理の糖化におよぼす影響について検討したが0.2%までは対照区とほとんど差がなかったが,それ以上の使用はやや糖化の伸びに影響をおよぼすことを認めた。ペーパークローマトグラフィにより,若干のマルトース,イソマルトース,パノースおよび原点付近にやや高分子のスポットが検出された。 6.以上の研究は製造直後の生澱粉を4回洗滌したかなり純度の高い試料について行ったので,現場で行なわれているようなサラシ粉処理の場合は,更に実際的な検討が必要と考えられる。