ジャガイモ澱粉では2.28%および4.92%,トウモロコシ澱粉では3.5%のアマニ油含量の試料を調製し,それらをCo60のγ線で0,40,80,120,200krad照射した.それらの物性の変化をビスコグラフで調べた結果,ジャガイモ澱粉では油分量の違いで照射線量によるビスコグラフの粘度曲線が大きく異なった.すなわち,2.280では糊化開始温度から95℃ までの最高粘度は未照射に比べて4kradでいったん増大し,80krad以上で減少した.一方4.92%では最高粘度は照射線量の増大とともに徐々に減少した.トウモロコシ澱粉では最高粘度は未照射に比べて40kradでは増大し,80,120kradでは40kradのものより減少し,200kradでは未照射に比べて大きく減少した. 次に照射時における両1粉についてアマニ油の澱粉粒に対する相互作用を調べるため,照射した脱脂澱粉のビスコグラムと照射した油処理澱粉を脱脂したもののビスコグラムとの比較をした結果,いずれも最高粘度は線最の増加に伴い徐々に減少したが,各線量におけるその減少割合は油処理のもののほうが大きく表われた.次にトウモロコシ澱粉について2つの照射試料の各線量での平均重合度の減少割合およびβ-アミラーゼの分解割合は油処理のもののほうがともに大きくなることがわかった.また油処理したものの照射試料のゲルクロマトを行った結果,アミロース区分が線量の増加により増大した.以上の結果より,アマニ油が澱粉分子の放射線分解を増強する効果として働くことが明らかにされた.