モチトウモロコシおよびトウモロコシ澱粉の種々の混合割合による20%糊液を調製し,初日の保存温度の異なる2種の保存条件の下で,X線回折とレオロジー特性により比較検討し,次のような結果を得た.1)X線回折図形における結晶性の回復は,モチトウモロコシとトウモロコシ澱粉では顕著に異なり,混合澱粉は両者の中間的挙動を示した.2)貯蔵弾性率はモチトウモロコシ澱粉は小さく,トウモロコシ澱粉は非常に大きいが,混合澱粉は比較的モチトウモロコシ澱粉に近い挙動を示した.3)20%濃度である1:1混合澱粉は,10%トウモロコシ単独澱粉ゲルよりも貯蔵弾性率は低い値を示し,モチトウモロコシ澱粉を混合することはむしろ軟弱なゲルを形成して経時変化も抑制されることが示された.4)相対回折強度による各試料の結晶化過程の挙動は,その混合割合に対応して連続的に変化する傾向が認められた.5)老化過程の比較において,モチトウモロコシ澱粉では老化にともなう結晶化,弾性率の増大はほぼ同_...経過をたどると考えられ,トウモロコシ澱粉では結晶化が緩和してもゲルの硬化はさらに進行することが認められた.混合澱粉の各老化過程は,それぞれ特徴的な挙動を示した.6)老化初期における保存温度はいずれの試料においても老化過程全体に影響を及ぼすことが認められ,老化初期の状態がその老化の進行を潜在的に決定する主因となる可能性が示唆された.