「経営品質」という概念が広く日本で注目されるようになったのは、「日本経営品質賞」（JQA：Japan　Quality Award）が創設されたのが契機である。言うまでもなく、JQAは、米国の「マルコム・ボルドリッジ全米品質賞」（The Malcolm Baldrige　National Quality Award：ＭＢＮＱＡ）に範を得たものである。JQAは1996年に初の受賞企業を発表して以来、既に10年目を迎えている。こうした実践的な経営品質向上活動が精力的に展開される中で、その概念を学術的見地から検証し、理論的な体系化・深化を図るために、2001年7月に「日本経営品質学会」(JAPE：Japan Association for Performance Excellence)が設立された。本稿は、日米での経営品質に関する理論と実践の概要を理解することと共に、今後の経営品質研究の主要課題とそれに対する展望を行おうとするものである。