経営品質メカニズムを解明するために、質問紙調査法による定量的実証研究を行った。JQAの経営品質評価基準を組織成熟度と組織変革との相関構造から分析する視座を提示するために、構造方程式モデルが構築され、共分散構造分析により実証が行われた。主な導出知見は以下の3点である。第一に、現JQAアセスメント基準の7つのカテゴリー から7つの因子が導出されたが、両者間には多少の内容の相違があった。特に戦略と従業員能力開発の2項目に関しては、導出された因子の主構成要因とはならなかった。第二に、経営品質向上活動とそのパフォーマンスとの間には、組織成熟と組織変革の2種類を媒介変数として仮定することの妥当性が確認できた。第三に、経営品質、組織成熟度、組織変革の3構成概念間の相関構造から因果モデルが導出され、経営品質メカニズムの解明に資する可能性を有した基礎的モデルの導出に成功した。