ヒューマンエラー研究において、事務ミスを引き起こすエラー誘発要因の傾向と特性については、体系的な整理がなされていないのが現状である。そこで、本稿では、私立A短期大学における事務ミスの事例をまとめ、それらを引き起こすエラー誘発要因との因果関係を結びつけることで、エラー誘発要因の傾向と特性を体系的に整理する。なお、本稿では、Reasonによる保守エラーの体系(エラーのタイプとエラー誘発要因)を適用させた結果、主なエラー誘発要因、副次的なエラー誘発要因として、時間圧(タイムプレッシャー)、「キャンドゥ」態度、ドキュメンテーション(文書化)、不十分なコミュニケーション、未経験、タスク頻度、を抽出することができた。そのため、これら6つのエラー誘発要因を重点的な課題として取り組むことが、私立A短期大学における事務ミス防止に繋がると考える。