1. 九州北部福岡県福岡市の東部に位置する和白干潟において1993年3月から1994年2月まで毎月採集したオオノガイの全軟体部を内臓部分 (生殖腺, 中腸腺, 胃, 腸), 筋肉部分 (水管, 足, 閉殻筋) と外套膜・鰓部分 (外套膜, 鰓) の3つに分け, 一般成分の分析を1年間にわたって行った. 2. 全軟体部の一般成分の年平均値は, 水分80.2%, 灰分2.0%, タンパク質13.2%, 脂質1.3%, 糖質は差し引き値3.3%, 実測値3.5%, グリコーゲン3.3%であった. 3. 軟体部中, 内臓部分の割合は35~53%である. 5月から増加して10月に最大で11月に減少し, 以後2月に向かって増加する. 筋肉部分の変動は29%から43%とその変動幅はやや大きいが, 外套膜・鰓部分は18%から25%と変動幅はやや小さい. 4. 一般成分分析の結果より, 周年を通じて大きく変動する成分はタンパク質と糖質 (グリコーゲン) で, タンパク質と糖質は一方が増加するとき他方は減少する傾向がみられた. 糖質含量の多い3月から6月頃が食べ頃と考えられる.