全卵, 卵黄, 牛乳, 植物性脂肪クリームおよび乳脂肪クリームを用いた9種類のプディングを調製し, クリーム, 卵黄および砂糖が構造に与える影響を検討した. 1) クリームを用いた試料は, いずれも牛乳使用の試料より有意に硬く, 特に植物性脂肪クリーム使用した試料は破断応力が高かった. 2) 調製試料 (A試料を除いて) の破断応力は, 試料の水分含有率と負の関係で, 脂肪量とは正の関係があった ( p <0.05). 3) 牛乳, 乳脂肪クリーム, 植物性クリームの脂肪粒子の直径は, 各々0.63±0.12μm, 2.64±0.18μm, 2.02±0.18μmであった. 4) たんぱく質・脂肪二重染色法による試料の構造では, 牛乳のみを使用したプディングは, 均等に分散した脂肪球の微小顆粒が観察された. 植物性脂肪クリームを使用した試料は, 脂肪滴が融合・集積して連続的に分布し, 乳脂肪クリームの試料は脂肪球が融合していたが, 植物性脂肪クリーム使用の試料とは異なり, たんぱく質の網状構造内にも微細な脂肪球が多数分散していた. クリームに卵黄を添加した試料では, 脂肪球および脂肪滴がより均一に分布しており, 脂肪の分散に卵黄成分が作用したことが推察される. これらの構造の差異が, テクスチャーに影響すると考える. 以上, たんぱく質・脂肪二重染色法により, クリームを用いた場合のプディング構造におけるたんぱく質と脂肪の分布様式が確認できた. また, それらの構造的特徴から, 市販プディングの組成を推定することができた.