高齢者や機能の低下のみられる人が介助されずに更衣できる衣服の設計は重要である。健常者を対象として、実験衣の腕ぬき・腕入れの可・不可と、動作所要時間の測定を行う。実験衣はBLからのAH下げ寸法2種と BL上のゆとり量 3種を変化要因とする6種の実験衣を、83人の若年と29人の高年を対象に椅座位でランダムに着用してもらった。高年については動作中の重心動揺の測定も行った。BL上での腕ぬき・腕入れ可能な最小ゆとり量は高年で28cm、若年で19cmで、腕ぬき・腕入れしやすく快適なゆとり量は胸囲に高年が36cm、若年が23cm必要となる。身体計測値と腕ぬき可能な最小ゆとり量の実験データの18項目について主成分分析を行ったところ、4つの主成分が抽出され、被験者の身体寸法と実験衣のパターンとの関係が明らかになった。