嚥下しやすい食品の要因を評価するために,物性がゼラチンに近いといわれている即溶性低強度寒天(LGSA: low-gel-strength agar)を試料として用い,物性測定はクリープメーター(山電製・日本)を使用して研究をおこなった.今回の結果では,甘味,塩味,酸味を呈する試料の硬さが濃度の変化に相応して,無味の試料にくらべて高いことが示唆された.さらに LGSA を用いて嚥下における総合的官能評価 [濃度(硬さ)・味・量] を 20 歳代の健常な学生群と 70~80 歳代の健常な高齢者群に対しておこなったところ,健常な学生群は 1.1%が好ましい濃度(硬さ)であり,さらに味では甘味が,量に関しては 5.0 g が口腔内においてもっとも嚥下しやすいと評価した.一方健常な高齢者群は甘味のみが嚥下しやすいと評価した.これらのことから,食品の物性を含むいくつかの要因が嚥下にたいして関与していることが示唆された.