モチコムギ発芽種子からアミラーゼを抽出し,イオン交換クロマトグラフィー,クロマトフォーカシングおよびゲルクロマトグラフィーにて精製を行い,アミラーゼⅠ,アミラーゼⅡおよびアミラーゼⅢの3種類の精製酵素を得た.アミラーゼⅠ,ⅡおよびⅢの最適pH は,pH 5.5, 6.0 および 6.5 であり,各酵素の活性はpH4.5 〜 7.0 で安定であった.最適温度は, アミラーゼⅠ , Ⅱ , Ⅲともに50℃であった.分子量は,アミラーゼⅠは56,000,アミラーゼⅡは64,000,アミラーゼⅢは53,000 であり,等電点はpI7.2, pI5.4 およびpI4.8 であった.各酵素ともに,水銀,PCMB で活性が完全に阻害され,SH 酵素であり,また,Ni2+,Cd2+,Cu2+,によっても阻害された.分解生成物からアミラーゼⅠはβ - アミラーゼ,アミラーゼⅡはα - アミラーゼ,アミラーゼⅢはマルトペンタオース生成酵素であり,アミラーゼⅠ,Ⅱともにアミロペクチンに最もよく作用し,モチ小麦アミラーゼの特性を示した.アミラーゼⅢは,アミロペクチンに対する作用性は低く,プルランを分解した.