食品の色彩嗜好に関する年齢および男女間の変動を知るために, 12歳から20歳までの男子1,112名, 女子1,164名を対象に, 赤, オレンジ, 茶, 黄, 黄緑, 緑, 青, 紫, ピンクの9色を採用し1978年に調査した結果, 次のような知見が得られた. 1) 食品の色が食欲を促すことに影響があると回答した者の比率は, 女子のほうが高く82.0%, 男子が69.9%であり, この男女差は, x2検定により有意差が認められた.また17歳以上になると男女とも肯定者が増加し, 16歳以下との年齢差は男女とも有意であった. 2) 5段階尺度による9色の平均値を嗜好度としたが, 色の種類によってかなり異なり, 男女ともオレソジを最も好み, ついで赤, ピンク, 黄の暖色系が好まれ, 茶, 紫, 青が好まれなかった.この暖色系が好まれていることはBirrenの報告と一致した.回答率は青が最も低く, 食品の色として受容しがたいことを示した.9色おのおの年齢ごとの嗜好度の95%信頼区間による有意差は, 暖色系と寒色系の間に多く検出され, 男子よりも女子のほうに多く, 色の種類に対する評価が繊細であることがうかがえた. 3) 標準偏差は総じて女子が小さく, しかも年齢が高いほど小さくなり, 嗜好度の高いオレンジ, 赤および黄は男女とも小さく, 他の6色とかなり差があった. 4) 16歳以下と17歳以上に区分した等分散の検定から, 標準偏差の年齢差は男女ともに有意差が認められる色が多く, 男女差は年齢の低い層に多く認められた.平均値の差の検定では, 年齢差は男子に多く, 男女差は年齢に関係なく全般に認められ, 年齢および男女間の変動が明らかになった. 5) 色から連想する食品は, 果物類と野菜類がおもで, 食品以外のものに対する嗜好色は男女とも白が1位, ついで青, 黒, 緑で食品とは異なり寒色系であった.