3年間着用後の男子および女子学生服の, 繊維組成の異なる3種について, 肉眼とゴニオフォトメーターによる光沢, および破裂強さを全部位にわたって測定し, それらの分布図を作成した. 破裂強さの低下が大きい部位は, 袖口, ひじ, すそ, 尻, ズボンの折り山, スカートのひだ山などであり, 全体的には, 上衣より下衣 (ズボン・スカート) のほうが劣化が大きいことがわかった.また, 着用者間の差は小さく, 女子服よりは男子服のほうが, 劣化が比較的大きいことがわかった.繊維組成別では, どの布も着用により強さは低下するが, ポリエステル混紡布は強さが大きく, 着用後においても大部分は毛100%の原布以上の強さを保持していることがわかった.ただし, ポリエステル混紡布は, 袖口やすその折り目など摩擦の著しいところではすりきれがみられ, 破裂強さの分布幅が広いということができる. ゴニオフォトメーターによる光沢測定結果の分布図から, 光沢増加の著しい部分は, 破裂強さ低下の大きい部分とほぼ等しいことがわかった.また, 光沢分布と破裂強さ分布との結果から, 光沢は毛の混紡割合が大きいほど光沢の増加が大きく, 破裂強さはポリエステル混紡布のほうがやや破裂強さの低下が大きい傾向がみられた.光沢の肉眼判定については, 4名の判定結果を一つに総合する方法を工夫し, ゴニオフォトメーターによる測定結果と比較した.その結果, 両者間には類似した傾向がみられた. 以上から, 着用後の学生服地の強さの分布状態は, 光沢の分布からほぼ推定できることが確認された.