κ-カラギーナンのゲル形成に及ぼす無機塩類の影響について, 機器測定, 官能評価により検討を行った.試料として, 0.7%κ-カラギーナン溶液とκ-カラギーナン0.5%, ローカストビンガム0.1%の混合溶液にKCl, NaClを添加しゲルを調製した。 1) レオロメーターによる測定では, 0.7%ゲル, 混合ゲルとも0.1~0.15モルのKCl添加で硬さ, 凝集性とも最大となった.添加量が0.3モルを超えるとゲル化能は著しく減少した.NaCl添加においても同様な傾向がみられたが, KCl添加の影響がより顕著であった. 2) クリープ回復から歪み-時間曲線を求め粘弾性を力学模型で解析を行った.各要素別にみるとKCl 0.05~0.2モル添加で変化が大きかった.とくに0.7%ゲルでフックの弾性体, ニュートンの粘性体の変化が顕著であった.一方混合ゲルでは各要素の変動は小さかった.NaCl添加ではいずれのゲルでも塑弾性体がとくに大きくなっている。回復率においてもKCl添加でよい結果な得た. 3) ゲル化温度の測定では, KCl添加により著しく上昇したが, 0.7%ゲルと混合ゲル間の相違はほとんど認められなかった。 4) KCl, NaCl 0.01~0.15モル添加の9種の0.7%ゲルについてSD法により官能評価を行った.評価項目中 “硬い”, “口あたりがよい”, “くずれにくい”, “しっかりしている”, “塩辛い” の五つのカテゴリーにゲル間の顕著な相違が認められた.