新ショウガと古ショウガの加熱香気の同定と, 鶏骨スープとともに加熱した場合の香気の経時的変化について観察し, 官能検査を行った.結果を要約すると次のようになる. 1) ショウガ加熱香気成分として, α-ピネン, カンフェン, ミルセン, リモネン, 1, 8-シネオール, β-フェランドレン, リナロール, ネラール, α-テルピネオール, ボルネオール, ゲラニアール, ジンギベレン, β-ピサボレン, ゲラニルアセテート, ネロール, ゲラニオールを同定した. 2) ショウガ加熱香気の収量は, 加熱0~30分で多量となり, 加熱31分以降は急速に減少する. 3) ショウガ加熱香気の主成分は, ゲラニアール, ジンギベレン, β-ピサボレンの混合物である.この成分の全収量に対する割合は, 新ショウガより古ショウガのほうが大きい. 4) ゲラニルアセテートおよびゲラエオールの全収量に対する各割合は, 古ショウガより新ショウガのほうが大きい. 5) 官能検査の結果, ショウガの加熱香気は, 加熱30分のほうが加熱分より強い.また, 加熱30分では, 古ショウガのほうが新ショウガより強い.スープとして好まれるショウガの添加量は, 古ショウガは1%, 新ショウガは1~3%である.