ガーリック抽出液と, その主要抗菌成分であるDADSの大腸菌増殖に及ぼす作用を検討して, 次の結果を得た. 1) ガーリック, DADSともに, 培養初期は培地への添加量に応じて, 増殖を阻害した.培養48時間以後は, 0.1~0.4%程度の低濃度のガーリックは逆に増殖を促進した.DADSでは促進作用はなかったが, 阻害程度は培養時間とともに低下した.またシスティンはこれらの阻害を弱めた. 2) ガーリック抽出液の阻害力は加熱により低下した. 3) 培養温度25℃では, 37℃に比して増殖が遅いのみでなく, ガーリックによる阻害作用も強く受けた. 4) 培地中に乳酸または酢酸があると, ガーリックと相乗的に作用して, 増殖が認められるまでの時間を延長した. 5) ガーリック, またはDADSを加えて振とう培養すると, それらの添加量と, 増殖が認められるまでのみかけの誘導期の対数との問に直線関係がみられ, DADS100ppmで, 65時間以上増殖を阻止した. 6) ガーリック, DADSとも, 培養初期の本菌, ならびに生理食塩水に懸濁した細胞の生菌数を減少させ, 殺菌作用を示した. 7) 培養中にガーリックによる増殖阻害程度が減少し, また促進作用がみられるのは, その間に阻害成分が減少し, 一方促進因子は残存し, もしくは活性化されて, その効果が強く現れるものと推論した.