インジゴの木綿と絹に対する染着と拡散の挙動を明らかにするため, 平衡染色して吸着等温線を求めたり, フィルム巻層法により拡散プロフィルを求めて検討した. 吸着等温線は見かけ上フロインドリッヒ型 (F型) を示したので, データをF型の吸着等温式に代入して親和力を算出した, インジゴおよびジブロムインジゴの親和力はセロハンの場合に最も大きく, 次いで木綿, 絹の順であった.たとえば, 木綿に対するインジゴの40℃における親和力は1.62kcal/molで比較的小さい. これらの染料の基質に対する拡散プロフィルの中には, ショルダーをもったものがみられた.このことは, これらの染料の基質中における拡散が単一の機構ではないことを示している.拡散プロフィルはイオン拡散と非イオン拡散に分割することができ, 前者はロイコ体の拡散に, 後者は未還元インジゴおよび酸化体の拡散に対応するものと推定した.