高校生の制服に対する意識を調査した結果, 次のようなことが明らかになった. 1) 制服に対する実用的機能については, 生理衛生面では好ましくないが, 便利さではよいとしていた.制服の第一義的と思われる象徴的機能はあまり評価されていなかった.美的機能に関しては美しいと思われていなく, 新鮮味がなく, 着こなしが楽しめないと思われていた.規制に対する意識では, 高校生は非行防止にはなっていないと意識していることがわかった.また, 規則で定められているから着用するのがあたりまえとは思っているが, 違反した場合処罰されるのが当然とは思っていない. 2) 制服に対する意識を弁別する要因は, (1) 制服の象微性を評価するか, しないか, (2) 制服があればよいと思っているか, どちらともいえないとはっきりした考えをもっていないかであった. 3) 高校生の制服に対する意識の違いは, 高校生のもつ基本属性, 生活要因 (衣生活, 学校生活, 家庭環境) により差がみられた.これらのことから高校生の制服について考えるときは, 制服そのものを問題としてとり上げるのではなく, 高校生をとりまく生活および学校教育にわたる広い視点から考慮する必要があると思われる.