1) ジャガイモの総ビタミンC量は春イモ19.3 mg %, 秋イモ18.8mg%であったがイモの貯蔵に伴い減少した.貯蔵1~2ヵ月の間の減少が最も顕著で, 2ヵ月後には収穫時期の半分以下となった.また, 総ビタミン Cの減少と発芽の間に密接な関連はみられなかった. 2) ジャガイモをスライスして放置すると, ビタミンC (AsA) 量が増大することを, DNP法, TLC法, 差スペクトル法で明らかにした.総ビタミンC量およびAsA量は2日後に最大となり, 以後減少した. 3) 加熱調理に伴うビタミンC量の変化を経時的に追ってみると, オーブン加熱と電子レンジ加熱では, 加熱時間が長くなるにつれてAsA量が減少した.ゆで加熱と蒸し加熱では, 10分以内にAsA量が顕著に減少し, 以後ほぼ一定の値を示した.最適加熱時間で加熱した後の総ビタミンC残存率を比較すると, 電子レンジ加熱が最も高く (96%), ついで蒸し加熱 (67%) とオーブン加熱 (62%) が高く, ゆで加熱が最も低かった (28 %). 4) イモをオーブンや電子レンジで加熱するさい, 1個を丸のままで加熱すると総ビタミンCの残存率は高いが, 切断して加熱すると低くなった. 5) 市販の冷凍ジャガイモの総ビタミンC量は製品ごとのばらつきが大きく, 4mg%から18mg%のものまであった.夏以前に製造され秋まで保存されたものは全般に総ビタミンC量が少なかったが, 秋以降に製造され, 保存期間が5カ月までのものでは多かった.また, 秋から春にかけて貯蔵される場合には生イモよりも冷凍ジャガイモのほうが総ビタミンC量が多かった.