κ-カラギーナンゲルのレオロジー的熱的性質に及ぼす陽イオンの影響について検討を行った。試料としてκ-カラーギーナンCS-47, 添加陽イオンとして塩化カリウム, 塩化ナトリウム, 塩化カルシウム, 塩化マグネシウムを用いた.0.75%および1.5%濃度のゲルについて, 粘弾性係数, テクスチャー特性値, 転移熱量を, またκ-カラギーナンについては無機質含量を測定した.さらにκ-カラギーナンの透析を行い, 同様に測定を行った.測定にはクリープメーター, レオロメーター, 示差走査熱量計および原子吸光分析計を使用した.瞬間弾性率 (EH) は0.75%ゲルでは0.2~0.3MのKCl添加で, 1.5%ゲルでは0.1~0.4M KClの添加で最大を示した.これらのゲルは, クリープコンプライアンスの経時変化においても特徴的な挙動を示した.同様な傾向はかたさにおいても認められた.転移熱量は, 0.75%ゲルで0.1~0.3MのKCl添加で最大となり, KClの増加とともに減少した.またKClを添加したゲルで顕著な二つのピークが出現した.NaCl, CaCl2, MgCl2を添加したゲルでは顕著な変化は示されなかった.透析後のκ-カラギーナンではゲルは形成されなかった.以上のことから, Kイオンがκ-カラギーナンのゲル形成に関与していることが, 粘弾性およびDSCの測定により確認された.