市販のだし材料95種類を用いてだし汁を調製し, 塩素をモール法により定量し, 食塩に換算した. その結果, だし汁の食塩含量は, 昆布だしが最も多く0.13~0.44%で, ついで煮干しの0.10~0.22%であり, 節および焼きあごは少なく, それぞれ 0.03~0.14%, 0.03~0.06%であった.また, 全般に個体差が大きく, とくに真昆布に顕著で, 鰹節のカビつけのもの, 片口鰯の煮干しは比較的変動が少なかった. 昆布, 節, 煮干し, 昆布・節混合の4種のだし汁について, おのおの食塩量が0.9%になるよう調整した吸物と, 食塩を0.9%添加した吸物の2種類を調製し, 官能検査を行ったところ, いずれのだし汁も食塩を0.9%添加した試料のほうが有意に塩味が強いと判定され, パネルは0.064%の食塩濃度差を識別しうることが認められた. 吸物の塩味の好ましさについては, 昆布だしにおいて有意に食塩を0.9%に調整した吸物が好まれた.