この報告は, 日本における雇用労働者の長時間労働が国際的にも問題視されているなかで, 大都市雇用労働者夫妻の社会的文化的生活時間についての意識を分析し, 問題点を指摘することを目的とした. 私たちは, 1985年10月, 東京多摩ニュータウンに存住する雇用労働者夫妻150組に平日・土曜日・休日の3日間, 生活時間調査を実施したが, そのなかから社会的文化的生活時間の数字をとりだして分析した.あわせて付帯して行ったアンケート中, 自由時間に対する意識についての結果も検討した. 平日の夫の社会的文化的生活時間は, 平均2時間前後であるが, 収入労働時間の長短によって強い影響を受ける.週推計では夫は21~23時間となるが, 妻は職の有無・勤務形態別で異なり, 無職妻の場合は35時間, 常勤で働く妻の場合は17時間である.社会的文化的生活時間を, 個人の発達にかかわるもの, 家族員との交わりにかかわるもの, 地域的社会的活動にかかわるものとにわけて時間配分をみると, 夫と妻では長短は異なるものの配分比率はいずれもそれぞれ, 6~7割, 2割, 1 割というように構造化しているという特色がみられた。また夫は, 社会的文化的生活時間が短いわりには, 自由時間への要求が低い.