ごまの香りが加熱条件や種皮の有無により, どのように影響されるか, 香気成分のヘッドスペースベーパーを分析して検討を行った.また, 妙りごまと妙り皮むきごまの香気濃縮物を調製し, GC-MS 分析により香気成分の同定を行った.妙りごまからはあらたに 43 種の化合物を同定し, 妙りごま, 妙り皮むきごまの香気成分として合計80種の化合物を同定した.ごまは加熱が不十分ではほとんど香りがせず, もう少し加熱すればごまらしい香りを発生し, 190~230℃までの加熱条件によって香りの強弱はあるが, 性質そのものの変化は少ない. 一方皮むきごまでは, おだやかな加熱で, 甘くこうばしいナッツ香を生じ, 強く加熱するとごま香を発生し, 加熱条件によって香りの性質が変化した.加熱条件に伴って 4種の香気成分の増減が見られ, 種皮の除去により 12 種の香気成分が消失または減少, 18種の成分が出現または増加し, 種皮の除去は甘さを減らしこうばしさを増加させることがわかった.