粉の粒度がスポンジケーキの膨化に及ぼす影響を, タンパク含量の異なる2種の小麦粉について検討した。ふるい分けにより, 粒度をそろえ, さらに同一粒度の小麦でんぷんを添加することにより, タンパク質量を一定とした試料を用い, 粉の成分, ケーキバッターおよびケーキの性状を比較した。その結果, 次のことが明らかになった. 1) 試料とした粉の湿麩量は, 強力粉, 薄力粉ごとに一定であったが, 水を加えたときの粘り (室温時, 加熱時) は, もとの小麦粉の影響を受け, 粒度別試料間に差がみられた, なお, 損傷でんぶんの多い, 強力粉のC区分は, とくに比重, 粘りとも大であった. 2) バッターの比重は, 粒度が粗いほど小さいが, 膨化量は粒度に粗いA区分がとくに小さいことを除けば, 一定の値を示した. 3) オーブン中のケーキの最大膨化量および焼き縮み量は, 粒度が細かいほど大であった.同一粒度の比較では, 強力粉のケーキのほうが薄力粉よりも両者の値は小であった.これらの値とバッター加熱時の粘度上昇開始時間との間には, おのおの高い正の相関が見いだされた.