1984年度に, 全国10カ所の消費生活センターにもちこまれた苦情相談事例から, 訪問販売における若年層の被害実態を調査した.その結果, 次のことが明らかとなった. 1) 対象事例366件のうち, 男子は55.2%, 女子は44.8%でやや男子のほうが多い. 2) 被害者の年齢は, 18~22歳が88.4%と大半を占める. 3) 苦情相談のあった品目は, 英会話教材が最も多く, 次に, 旅館クーポン・会員券であった. 4) 販売方法は, 男子ではアポイントメントセールス, 女子ではキャッチセールスによるものが多い. 5) 契約動機は「強引に勧められて, 脅かされて」や「海外旅行その他の特典につられて」などが多く, 前者は女子に, 後者は男子に多くみられた. 6) 契約した商品の価格は高額で, 40万円を越える場合が約半数あり, とくに男子に高額契約者が多い. 7) 被害者の約2/3が実際に代金を支払い, その金額は大半が2万円以下であるが, 男子では20万円以上支払った人が4.9%もみられた.