底面が正方形の食品を電子レンジで加熱したときの温度分布の計算を試みた.マイクロ波の侵入深度 d , 辺の長さを2 a とし, d/a をパラメータとして等温線と, 辺, 中心線, 対角線に沿っての温度変化を求めた.すべての場合に四隅が昇温し, 中心付近が最も昇温が遅れることが示された。とくに d/a が小さいとき, すなわち電波の侵入深度が短いときには四隅の昇温が顕著であり, 周辺部も優位に昇温した. d/a が1程度以上では比較的均一に昇温し, 円形に近い等温線が得られた.計算結果は45℃に曇点をもつ界面活性剤入りのアドヘア糊を用いた実験により確かめられた.容器に入れた糊の高さがマイクロ波の波長と同じくらいの高さの場合には, 電子レンジのターンテーブルの有無の無関係に, 辺に平均な昇温パターンが得られた.