全卵の泡立ち性について基礎的実験を行い, 卵白および卵黄の泡立ち性と比較考察した. 全卵は卵黄と同様, 起泡力は高いが, 流動性のある安定性の低い泡沫を形成した. 全卵および卵黄では卵白に比べて試料濃度やpH, 塩化ナトリウム添加量による泡立ち性への影響が大きく, またこれらの条件変化による泡立ち性の変化において全卵と卵黄の間にいくつかの類似点がみられた. 全卵の泡立ち性に対するコーン油添加の影響は卵液濃度によって異なるが, 少量の油の存在で著しく泡立ち性が阻害される卵白に比べて, その影響は小さいことが認められ, これは位相差顕微鏡により卵黄の乳化性によるものであることが観察された. 以上の結果から, 全卵の泡立ち性において起泡力の主体となるのは, 卵白タンパク質よりもむしろ卵黄タンパク質であろうと推察される.