市販だしの素を用いて, その中に含まれる5'-リボヌクレオチドの分解に及ぼす他のだしの素成分の影響について検討し, 以下の知見を得た.だしの素水抽出液中に含まれるIMPは, 加熱によって, pH4およびpH7では, 1次反応的に分解した.その反応速度定数は, pHが低いほど, また温度が高いほど大きく, 活性化エネルギーはいずれのpHでも約1.5×105J・mol-1であり, IMP単独溶液の場合の各パラメータと顕著な差はみられなかった.しかし, pH9でのIMPの分解は明確な1次反応的な挙動をとらず, 他のだしの素成分との間になんらかの相互作用が起こったことが示唆された. また, 水分活性0~0.8, 60℃で貯蔵しただしの素中のIMPは, 水分活性0~0.5ではほとんど分解しなかったが, 水分活性0.8ではかなり分解が進み, 他のだしの素成分との問になんらかの化学反応が起こったことも示唆された.