快適で健康な敷布団の評価を, 一対比較法による心理的評価, 睡眠中のEEG, EMG, ECG, 呼吸数, 代謝量, 体動, 睡眠のパターンの測定による生理的評価, 臥床時背面形状の石膏包帯法による採取およびそのモアレ法による三次元形状分析に基づく形態的評価の三側面から検討し, 寝姿勢体圧分布と快適性および健康の対象としての眠りの質との関係について考察した. (1) 石膏包帯法による背面形状の採取は, 寝姿勢・体圧分布を把握する上で有用な方法である. (2) 最も好まれた敷布団は, W.Lを基準にすると, 肩甲部で3cm, 仙骨部で4cm沈み, 大腿・踵部は, W.Lと同じ沈みであった.最も良質な眠りは, 直線的寝姿勢をもつものであり, 体圧は柔らかい布団で最も低い値を示した. (3) 官能検査結果より得られた最も快適な敷布団は, 生理的反応に基づく健康的な評価とは, 必ずしも一致しなかった.敷布団の機構的な特性は, 今後さらに多くの人を対象として, 消費者の快適性と健康性の両面から検討していく必要がある.