うに塩辛製造および熟成中における核酸関連物質の変化について検討した.対照として, 熱処理うに塩辛についても調べた. 1) 生うにの総ヌクレオチドに対するアデニンヌクレオチド (5'-IMPを含む) の割合は54.8%であった. 2) うに塩辛製造および熟成初期に5'-ATPが酵素的に分解し, イノシン, ヒポキサチンが蓄積した.5'-IMPの蓄積はみられなかった. 3) 5'-UTP, 5'-GTPはすみやかにヌクレオシド (ウリジン, グアノシン) まで分解した.5'-GMPは蓄積しなかった.5'-CTPは比較的安定であった. 4) ATP, UTP, GTPの各関連物質の総量が熟成後期に増加し, 核酸の酵素的分解が示唆された. 5) 熱処理うに塩辛では5'-ATPは熟成中ゆっくりと非酵素的に分解し, 代わりに5'-ADP, 5'-AMP, アデニンが増した.5'-UTP, 5'-GTPも熱処理うに塩辛で同様の反応を受けた. 6) 適熟のうに塩辛には, 生うにの味に寄与していると報告されている5'-IMPと5'-GMPが存在しなかった.