アンモニアガスを乾燥小麦の殺菌に利用する場合の小麦粒への吸着・脱離, 抗菌効果, 小麦発芽への影響についてモデル実験を行い, 以下の結果を得た. (1) 小麦への吸着は最初の1~2時間で急速に進み, 10時間でほぼ飽科に達した.吸着したアンモニアは大部分が表層部にあり, 胚乳部への浸透は少なかった。 (2) アンモニアを吸着した小麦は空気中に放置することにより徐々にアンモニアを脱離した.しかし, 吸着したアンモニアの一部は揮散せず, 粒内に残留した. (3) アンモニアに曝された小麦はかびおよび細菌生菌数が減少したが, 同時に発芽率も低下した, (4) アンモニアの菌増殖抑制作用は, 吸着したアンモニアを揮散させると消失した.小麦粒の発芽活性はその場合でも完全には回復しなかった.