魚醤製造時における揮発性酸の生成およびその由来について調べた. 魚醤中にはC2~C6の低級揮発性脂肪酸が含まれているが, 製造中に各種のアミノ酸を混合比・濃度等を変えて添加しても, 魚醤中の揮発性酸の濃度はあまり変わらなかった.また, 新鮮な材料に自己消化した魚を加えて一定期間インキュベートしたところ, 揮発性酸の生成量は高まり, この増加は発酵中の微生物の作用によるものと思われた. 長鎖脂肪酸を加えた場合には, 酢酸, イソ酪酸およびイソバレリアン酸の生成の増加がみられ, これらの揮発性酸は長鎖脂肪酸に由来するものと推測されたが, アミノ酸の関与についてははっきりしなかった.