ゴボウは比較的多量のペクチン性多糖類 (組織100g中にウロン酸として993mg) を含有していた.ペクチン性多糖類を分別抽出すると, 希塩酸可溶性区分 (pA) : 酢酸塩緩衝液可溶性区分 (pB) : ヘキサメタリン酸ナトリウム可溶性区分 (pC) はおのおの39.4% : 53.9% : 6.7%であった.pBのエステル化度は38.4%で, 塩化カルシウムを添加することにより沈殿を起こした.pA, pB, pCのDEAE-セルロースカラムクロマトグラムはおのおの異なった, ゴボウのペクチン性多糖類のおもな中性糖組成はアラビノースとガラクトースであった.ゴボウを1時間加熱調理すると組織中のpAの割合が増加し, pB, pCの割合が減少した.しかし, 多量の分子量の大きいペクチン性多糖類が組織中に残存していた.ゴボウは中性溶液中で加熱することによりトランスエリミネーションを起こしにくいpB (低メトキシルペクチン) を多く含むため, 加熱により軟化しにくい.