タンパク質分解酵素の活性に及ぼす, 15種の洗剤成分の影響を調べた第1報で報告した, 非イオン界面活性剤による同酵素の活性上昇の機講を速度論的に調べた. 25℃, pH10.5で純品酵素ナガーゼと市販酵素試料カズサーゼによるカゼインの加水分解の初速をアルキルポリオキシエチレン, アルキルフェノールポリオキシエチレンの存在下で測定した.初速は活性剤濃度とともに上昇したが, それぞれの活性剤に固有のある濃度以下では, 上昇の程度は低かった.対応するカゼインと活性剤を含む溶液の表面張力を測定し, 拮抗阻害の逆型に従う活性上昇がそれぞれの系での活性剤のcmcより十分高い濃度領域で起こることを見いだした. 基質加水分解の初速の基質濃度, 活性剤濃度による変化を速度論的に解析した結果, 非イオン界面活性剤による酵素の活性上昇の機構は, 活性剤ミセルと結合した酵素と基質の解離定数が, 活性剤ミセルと結合していない酵素と基質のそれの1/20程度になることによることを推定した. また, 非イオン界面活性剤によるプロテアーゼの活性上昇が, 高い基質, 活性剤濃度で起こることを市販酵素試料3種についても確認した.