数種の服装を提示し, 服装を評価する各用語ごとに当てはまる程度の評定を行い, 評価用語間のユークリッド距離行列を算出した.この距離行列をインプットデータとして用い, クラスター分析および多次元尺度分析によって評価用語の分類を行い, 服装の評価構造を考察した.クラスター分析の結果, 60個の評価用語は, (1) 斬新で目立つ, (2) ファッショナブルで高級, (3) 場違いでいやらしい, (4) スポーティで男性的, (5) 若々しく新鮮, (6) 清潔でほっそり, (7) 安っぽくてやぼったい, (8) 優雅でフォーマル, (9) 慎み深くてベーシック, (10) 女性的で上品の10個の基本クラスターに分類された.また, 多次元尺度分析によって, 地味と派手, フォーマルとカジュアル, 上品と下品の三つの次元が抽出された.この 3次元空間に各評価用語を10個の基本クラスター別にプロットしたところ, 1次元の派手側に強いイメージを表現する (1) ~ (5) のクラスター, 地味側に弱いイメージを表現する (6) ~ (10) のクラスターが布置された.また, 2次元のフォーマル側には, (2), (8), (10) のクラスター, カジュアル側に (4), (5) のクラスター, 3次元の上品側に (1), (2), (5), (8), (10) のクラスター, 下品側に (3), (4), (7), (9) のクラスターが布置された.これら各次元におけるクラスターの空間配置から服装評価における基本次元を見いだした. さらに, 5種の服装に対する評定結果を多次元尺度分析のINDSCALモデルを用いて分析し, 各服装について各次元の重みを算出した.その重みの大きさから評価のときに重視される次元を服装別に明らかにすることができた.