食品中の水分測定に, 従来用いられている食品を外部から加熱する方法に替え, 電子レンジを使用した水分測定法の検討を行い, 次の結果が得られた. (1) 同一試料 (キャベツ) を用い, 常圧加熱乾燥法, 電子レンジ加熱法および赤外加熱法で水分を測定したところ, 常圧加熱乾燥法による水分値を基準値100%としたときの水分残存率は, 電子レンジ加熱法が0.78~ 0.90%, 赤外加熱法が1.5~22%となり, わずかではあるが赤外加熱法よりも常圧加熱乾燥法に近い値が得られたことより, 水分測定に電子レンジを利用できる可能性は高いと考えられた. (2) 水分含有量の多い食品に関しては, 電子レンジ加熱法では, 食品により多少異なるが常圧加熱乾燥法の約1/40~1/30の加熱時間で水分測定可能であった. (3) 大豆, 米糠, 白ゴマは水分残存率が高かった.精白米を除く3種は高脂質含量の試料であるので, 脂質含量の影響を豚肉について検討を行ったが, 脂質含量の高いことが水分残存率の高くなる原因とは考えられなかった.したがって, これらの試料の水分残存率の高いことは比較的低水分量の試料であることと関連している可能性があり, 今後さらに詳細な検討を行う必要がある. (4) 複合食品の試料採取量を多くし (約10倍), さらに, 摩砕などの試料調製をほとんどしないで電子レンジ加熱法により水分測定を行った結果, 水分残存率0%という結果が得られた. 以上の結果より, 電子レンジによる水分測定法は, 水分含有量の多い食品は, 基準となる常圧加熱乾燥法とほぼ等しい数値が得られ, 測定時間の短縮化, 操作の簡便性の点からも学生実験への導入の可能性は高いと考えられた.