電子レンジの普及率が高いわりに, マイクロ波利用の基礎となる昇温特性について理解されていないので, 食品の昇温状態を総体的に把握する日的で実験した. 約100種類の食品を長径12cmの汎用型容器に詰め, 加熱後の昇温パターンを赤外線放射温度計によって測定したところ, 次の結果が得られた. (1) 食品のなかには著しく端部が昇温しやすいものと, 逆に中央部が著しく昇温しやすいものがあり, 加熱時間を延長してもその傾向は変わらなかった. (2) 加熱部位の特徴に従って, 種々の食品を, 端部加熱, やや端部加熱, 比較的平均加熱, やや中央部加熱, 中央部加熱に分類した.その結果, 生鮮食品と調理済食品の多くがやや端部加熱と端部加熱に分類された. (3) 食品の含水率と昇温パターンとの間にかなり相関性が認められ, 含水率70%以上ではほぼ例外なく端部加熱の, 20%以下ではほぼ例外なく中央部加熱の傾向がみられた.含水率20~70%では比較的平均に加熱されるものがみられた. (4) 含水率の割に端部が昇温しやすい食品には, すべて塩分が含まれていた.