マイクロ波加熱法では, 誘電加熱原理に従って規則的に発熱がおきるので, 加熱器の種類, 試料重量, 試料幅が決まれば昇温パターンはほぼ一定になり, 昇温パターンを分類したり, 理論的に裏づけることが可能になる.そこで本報では, 汎用型プラスチック容器 (9×12cm) に100gの各種食品または練生地を詰め, 出力500Wの電子レンジで一定時間加熱した場合の昇温速度を求め, 昇温特性を整理し分類した. (1) 試料中心部における昇温速度Δ T が, 35~130℃/minと大きく異なり, 乾物と油脂食品では大きく, 調理ずみ食品と調味料では小さかった. (2) 試料中心部における昇温速度ATは, 含水率とかなり高い負の相関を示し, とくに塩分濃度の低い試料に限定すると相関性が高くなった. (3) 試料中心部における昇温速度Δ T は, 塩分濃度とやや低い負の相関を示し, とくに含水率を制限すると相関性が高くなった. (4) 試料中心部の昇温速度と, 試料端部の昇温速度との間に負の相関があり, 含水率が低い試料では中心部が昇温しやすく, 含水率が高い試料と食塩が添加された試料では端部が昇温しやすかった. (5) 含水率が低い試料では, 2分間の加熱処理で高温に達するものが多かった. (6) 以上の測定結果に対して理論的な説明を加え, 食品を加熱する場合の適正加熱時間を求めた.