スープストック調製時に加熱によっておこる肉中のコラーゲンのゼラチン化と筋原繊維タンパク質の可溶化について検討した.スープストック中の全可溶性タンパク質量に対するコラーゲン由来のゼラチンの割合は6時間加熱で約30%であった.精製した筋原繊維を加熱すると, ほとんどのタンパク質は変性してSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンから消失し, 加熱可溶性画分には40,000, 23,000, 10,000~18,000ダルトンのタンパク質のみが認められた.これらのタンパク質の分子量はスープストック中のタンバク質の分子量に近似していた.また, 筋原繊維タンパク質を加熱した後の可溶性タンパク質量は加熱時間の増加につれて次第に増加した. 筋漿タンパク質と筋原繊維タンパク質の混合物を加熱した場合, 可溶性タンパク質量は, それぞれを加熱した場合より減少した.筋原繊維タンパク質に対する筋漿タンパク質の割合が高い場合, 加熱可溶性タンパク質のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンでは10,000~18,000ダルトンのバンドがより強く現れた.また, 加熱時間の増加につれて低分子タンパク質が増加した. これらの結果から, スープストック中には筋漿タンパク質, 筋原繊維タンパク質, 結合組織タンパク質に由来するそれぞれのタンパク質が存在していると考えられる.