愛玉子子実の電子顕微鏡観察とゾルおよびゲルのレオロジー的性質を検討し, 次のような結果を得た. (1) 愛玉子子実の電子顕微鏡観察では, 種子, 果柄部ともその表面はペクチン物質と思われる薄い層で覆われていた. (2) 愛玉子ゾルの粘度は, 部位別では果柄部が種子部より高く, いずれも抽出後より粘度がやや低下し, 高分子電解質の特異な粘度挙動を示した.また, 愛玉子ゾルのオリジナルpHは4.5付近であり, pH3で粘度は量高となり, それ以下では粘度は低下した. (3) 保存時間別の静的粘弾性測定では, 2%愛玉子ゲルは6要素の力学模型で解析された.愛玉子ゲルのフック体の弾性率, フォークト体の弾性率, 粘性率は保存時間が長くなるに従い減少するのに対し, LMゲルでは増加した.また, フック体の弾性率がほぼ近似した両者のゲルを比較するとニュートン体の粘性率は愛玉子ゲルが約2.5倍高い値を示した. (4) 3%愛玉子ゲルの動的粘弾性の時間依存性では G ′, G ″とも測定30分以上で低下が認められ, ゲルの脆弱化が示された.また, 温度依存性では20℃以下で G ′が増加し, ゲル講造の安定性が認められた.