本研究では, さといもレクチンをカゼイン食に混合し自由摂取させることにより, そのマウスに対する抗栄養作用を調べた.この研究の目的は, マウスに対するさといもレクチンの生体での栄養効果の知見を得, あわせて運動量やエネルギー代謝に対する影響を調べることであった.約159の雄マウス (ddY) に粗レクチンか純レクチンを6ないし9日間摂取させた.1日の平均摂取量は, 粗レクチンが142.1mg, 純レクチンが71.5mgであった.毎日の体重と摂食量を測定し, 期間終了後は臓器重量を測定, 小腸の組織像も顕微鏡下で観察した.今回の実験結果からレクチンの毒性について次のような結論を得た.レクチンを餌に混合して与えると小腸における栄養素の吸収率が低下し, 次第に, 摂食量が低下し成長も悪くなり, それに伴い運動量やエネルギー代謝量も低下する傾向がある.