レンコンは比較的少量のガラクツロン酸 (未熟レンコン100g中に213.7mg, 完熟レンコン100g中に233.5mg) を含有していた。ペクチン性多糖を分別抽出すると, 希塩酸可溶性区分 (pA) : 酢酸塩緩衝液可溶性区分 (pB) : ヘキサメタリン酸ナトリウム可溶性区分 (pC) は, 未熟レンコンで30.3% : 56.0% : 13.8%, 完熟レンコンで15.2% : 45.3% : 39.5%であった.未熟レンコンのペクチン性多糖のエステル化度は完熟レンコンのそれより高かった.pA, pB, pCのDEAE-セルロースカラムクロマトグラムは未熟レンコンと完熟レンコンで異なった.レンコンのペクチン性多糖のおもな中性糖はガラクトースであった.1時間加熱調理すると, 未熟レンコンのほうが完熟レンコンより軟化しやすく, 調理後のpAも多かった.一方, pB, pCは未熟レンコンより完熟レンコンのほうに多量残存していた.完熟レンコンのほうが未熟レンコンよりpB, pC (低エステル化度) を多く含むため, 加熱によりトランスエリミネーションを起こしにくく, 軟化しにくいものと思われる.