ドーナツ調製時における油脂の移行状態を調べるためにドウ配合油脂として揚げ油と脂肪酸組成を著しく異にするヤシ油を用いて検討し, 次の結果を得た. 1. ドーナツの吸油量は脱脂乾操物重量当たりで比較すると配合油脂量に関係なくほぼ一定で, その値はドーナツの大きさに伴って小さくなる. 2. ドウ中に配合された油脂は揚げ操作中にその一定割合が揚げ油中に流出し, 揚げ油の一定量がドーナツ中に移行する.すなわち, ドーナツ調製時には油脂の交換が行われている. 3. ドーナツ調製時の脱水量は脱脂乾燥物当たりで比較すると, 配合油量に無関係にほぼ一定で, その値はドーナツの大きさが大きくなると小さくなる. 4. ドーナツの含水量や含油量は他の要因があまり変わらない場合にはドーナツの大きさ, したがって, 比表面積に大きく支配される.